分析

何に投資すべきか?「抵抗」を考える。

ホビーレーサーといっても、さまざまな人がいます。休日に長距離を走っておいしいものを食べに行くのが好きな人もいますし、レースに出場して勝つことを目標にしているストイックな方もいます。ただ、ロードバイクという乗り物に乗っている以上は、きっとみんな速く(遠くまで?)走りたいと思っているはずです。

何に投資するか、それが問題だ。

プロ選手なら供給される最高の機材を使い、最高のトレーニングをすればいいんですが、ぼくたちホビーライダーは投資できる時間もお金も限られています。なので、何に優先的に時間やお金を投資するかという選択をいつも考えなければいけないのです。

ROIとは、ビジネス用語で投資額に対するリターン(利益)の割合を表す指標です。少ない投資で最大の効果を上げるのがよしとされています。それでは、ロードバイクの何に投資をしたら、リターンが最大になるのか考えてみましょう。

まずは、走行抵抗の内訳を調べてみましょう。

参考:Types of Resistance When Cycling

このサイトでは、2015と2016年の Trans Continental Race (TCR) における計測結果から、プロライダーの走行における抵抗の内訳を分析しています。それによると、レースにおける標準的なライダーと、上位ライダーがレースを通じてうけた抵抗の内訳は以下のようになっています。

標準的なライダー上位のライダー
空気抵抗43%57%
重力抵抗または重量38%24%
転がり抵抗11%11%
トライブトレイン抵抗4%4%
ブレーキ2%1%
ハブ抵抗1%2%

ここでかんたんに気づくのは、標準的なライダーにおいても、実に81%もの抵抗は空気抵抗+重量による抵抗ということです。かたや、チェーンやスプロケットなどのドライブトレインから発生する抵抗はわずか4%にすぎず、ホイールのハブに至っては、なんと1%でしかありません。

この時点で投資の優先順位が見えてきました

抵抗値から考えると、最も優先して投資すべき領域というのはこの順番になりそうです。

  1. 空気抵抗の削減
  2. 重量の軽減
  3. 転がり抵抗の軽減

また、この3つのうちの優先順位として考慮しなければならないのは「どれぐらいの削減余地があるか」「投資単位に対してどれぐらい効率よく削減できるか」ということです。また、お金を投資して改善できるものと、時間を投資して改善すべきものに分類できそうです。

お金努力
空気抵抗値良いフレームやホイールを買うフォームを改善する
重量良いフレームやホイール、部品を買うやせる
転がり抵抗良いタイヤを買う空気をたくさん入れる

次に、空気抵抗値の内訳を調べてみましょう

こちらのサイトの、空気抵抗削減効果ランキング(42km/h)によると、以下のような比率で空気抵抗の削減効果があるようです。また、それにかかる費用を4段階で記入してみました。

削減できるパワー費用
エアロフォーム30-40W無料
エアロフレーム10-25Wとても高い
エアロジャージ10-20Wやや高い
50mmハイトのホイール10-20W高い
エアロヘルメット5-10Wやや高い
シューズカバー8.2-9.5Wやや高い
エアロハンドル3Wやや高い
エアロボトル2Wやや高い
ゼッケンのすき間をへらす1.5W無料

結論

走行抵抗を調べてみると、どうやら投資の効率がよいものと悪いものがあることがわかってきました。それでは、投資対効果の良い投資の順番をまとめてみましょう。

投資対効果が良いと思われるものTOP 3

  1. 50mmハイトホイール
  2. エアロフレーム
  3. エアロヘルメット

まず、走行抵抗のうち最も割合の大きい「空気抵抗」の削減に投資するのが最も効果が高そうということがわかります。その中でも、最も費用対効果が良さそうなものは「50mmハイトのホイール」としました。価格にもよりますが、もしかするとエアロフレームと同等の価格になるかもしれません。エアロジャージを除いたのは、すでにサイクルウエアなどそれに近い装備で走っている人が多いと思われるためで、あまり劇的な改善効果はなさそうだからです。

投資対効果がいまいち思われるものWORST 2

  1. ホイールハブの交換
  2. ドライブトレイン(コンポ)の交換

まず全体の抵抗の割合からしても、わずか1%のハブに投資するのは効率が悪いように思えます。また、トライブトレイン抵抗も全体の抵抗に対して4%にすぎないので、例えば上位グレードのコンポに換装したとして、抵抗値という観点ではあまり改善効果が見込めないかもしれません。

無料でできること TOP 2

  1. エアロフォームを練習する
  2. やせる!

お金をかけるよりなにより、この2点を改善するのがいちばん効果が高そうです。また、今回は走行抵抗という観点で分析しましたが、もちろんトレーニングをしてパワーを上げるのも大切です。

ということで、まずはトレーニングを納得いくまでやって、どうしてもタイムが伸びなかったら投資対効果の良い順にお金をかけましょう!

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